ロッカールーム

バックホームッ!

過去の試合内容
5.1〜5.13


5月13日(木) 対戦相手:熱気ムンムン
板橋四丁目集会所
 朝から曇ってて、夜には雨だそうで。この湿気の多さはなんですか?不快指数は週末の山手線の乗車率くらいありますがな。

 今日の稽古場となる板橋四丁目集会室は、銭湯の二階にあります。一階の入り口のすぐ右が銭湯の入口。階段を上って二階に上がると、ちょっとした娯楽スペース。そしてその奥が集会室です。

 電気も点いてない二階には、おっさんが畳にゴロ寝。なんだ、この緊張感の無さはっ!暫くすると、もうひとりおっさんが加わって、囲碁をやり始めました。くらーい中、静かな戦い。おそらく、凡人には見えない熱い戦いが繰り広げられてるんでしょう。

 40畳ほどの和室にて、ひとりでネタ帳と向き合い、たまに煙草を吸い、東スポを読んで、ペットボトルを口にし、DM作りをして、ちっとも激しい動きなんかしてないのに、なんでこんなに汗が噴出してくるの?空調設備は換気扇と窓以外に何かないの?

 銭湯の熱気が二回に上がり、部屋にこもってムシムシ&ムラムラしてきます。うわ〜、脳みそふやけちゃうよ。

 ネタの出来具合はともかく、熱のこもった4時間でした。


5月12日(水) 対戦相手:医者
豊島中央病院
 「水曜の午前中に診察にきてくださいねぇ。」看護婦さんに言われたので、ばっちり乾いた傷口を見せに行って来ました病院に。

 午前10時前、受付に行くと番号札を渡されました。22番の札です。一体、何人待ってるの?待合室にある漫画や雑誌を読みながら、番号が読み上げられていくのをじっと聞いています。え?今、11番なの?今日は大繁盛ですなぁ。

 14番…15番…16番…。順調に数は増えていきます。24番の方ぁ。おっ、飛び級システムもありなの?もしかしたら、重病人?オレは擦り傷だから順番通りかな。でも何か間違って早く呼ばれる事もあるかもね。

 読んでいる漫画には、なぜかどれも、近所のセブンイレブンのアルバイト募集の紙が入っていて、「時給900から」とか、「髪を染めている人、不可」とか書かれていますが、これはわざわざ病院にこの用紙を入れに来たんだろうか?だとしたら、募集のターゲット、間違えてませんか?

 19番…20番…。もうすぐです。
 「21番の佐藤さーん。佐藤ひろゆきさーん。」

 惜しいっ!一瞬、腰が椅子から放れ掛けたよ。ひろゆきさーん、早く診て貰ってね。あれ?いないの?すると看護婦さん、

 「22番の佐藤さん。佐藤ひろゆきさーん。」

 オレであって、オレでないねぇ。一応、22番の札を見せて「ひろゆきじゃないんですけど、診て貰えます?」診察室に入りました。

 カルテを見ながら、土曜に診て貰った先生とは違う先生が、
 「腰ですかぁ?」

 一体、いつのカルテ見とんねん!膝だっつーの。早速、乾きまくった膝小僧を見せると、先生、

 「あー、こりゃひどいねぇ。」

 治ってないの?何がひどいの?結局消毒されて、はい、おしまい。診察室を出て待合室のテレビでは、みのが健康に関する薀蓄を垂れてたよ。擦り傷の特集なら良かったんだけどね。

 待ち時間2時間 診察3分


5月11日(火) 対戦相手:“探しています”
川越街道
 膝の傷口が、相も変わらずチュクチュクしています。キューティハニーも真っ青です。

 そんな事態を打開すべく、今日は膝のガーゼを取っ払い、短パンを履いています。とにかく風に当てて乾かすのが第一目標なのです。そうだ、このまま外に出て風を当てようか。

 てな訳で、バイクに乗って、あても無いままブルンブルン走っております。正面から受ける風で乾燥を倍化させようという頭脳プレーですね。風がチョットしみますが、男の子だもん、痛かないやい。

 川越街道を走っていると、警視庁の看板が目に入りました。

 目撃者を探しています。4月16日午前5時30分頃、    と    の衝突事件が発生しました。目撃された方は豊島警察39××−××××まで

 空欄なんですよ、肝心な所が。何と何がぶつかったか書いてないんですよ。一体何がぶつかったんでしょう?

 ●タクシーとバイク。タクシー全損。バイク無傷。
 ●蟻さんと蟻さん。お互い急ぎすぎで。
 ●先代社長と現社長。経営方針の違いで。
 ●役者と演出家。スタニスラフスキーとかドラマツルギーとか、解る言葉で話せって。

 代表と幹事長と代表代行の衝突は当分続きそうです。


5月10日(月) 対戦相手:白いもの
我が家
 自慢じゃありませんが、ヒゲが濃いんですよ。男性ホルモンが多いんですね。3日もあれば、富永先生が鈴木義二先生を絵に描いたような「無人島で暮らす人」(お笑い漫画道場参照)、それ位伸びるのが早いです。だから朝のヒゲ剃りは欠かせません。

 今朝、ヒゲを剃ろうと鏡の前で準備をしていると、おっや〜?なんじゃ、この光るモノは?パンの食べカスでも付いてるんだろうか?でも今日はご飯食だし。これは、もしかして…

 白髪?

 正確には白ヒゲです。何千本とあるヒゲの中に3本だけ白いものが混じってます。ショックですよ〜。アイドル歌手にはなれそうもない年齢だとは解っています。でもね、まだまだ、若いモンには負けねえぜ。そんな若葉のような、青虫のような、チェリーボーイのような青春いっぱいの気持ちに満ち溢れてますよ。だのに、白い毛って。

 鼻毛にも白いモノ発見。髪の毛は染められますが、これらは染められません。まあ言い返せば、何物にも染まっていないありのままの私がそこにあるわけですよ。

 すぐさまパンツの中も確認しましたが、こちらはセーフ!まだまだ現役ですな。


5月9日(日) 対戦相手:感嘆詞
パルティーレ大宮ウエディングビレッジ
 天気予報では夕方から雨。この式場の広場でのパフォーマンスは雨が降ると何も出来なくなります。ジャグリング道具持っていこうか、どうしようか?

 「夕方から雨です。」という気象予報士の言葉に淡い期待を込めながら、大きな荷物をガラガラ引いていきましたが、午前中には降り出しましたね、オテントさんの馬鹿っ!で、風船主体のパフォーマンスにシフトチェンジです。

 列席者のお子さんにとってはボクのピエロ姿が「人間か?人間ではないか?」興味の対象であることは毎度の事なんですが、その子の前で、風船芸を見事に披露していると、

 「この人、人間じゃないよ。だってさぁ、こんなにスゴイ事できるんだもん。」

 はっはっはー。「人間じゃない」程スゴイ技。見る人が見れば解るモンです。

 まあ、食べた後はすぐに“牛”になるし、飲み会の後は“狼”になったり、初対面の人の前では“猫”のように静かだし(7泊8日350円)、狐や狸になって化かし合いしたり、そして、たまに毒なんか吐いたりしますからねぇ。そこまで見抜いちゃった?

 その子には風船で出来た“犬”をプレゼント 首輪つけて写真撮るアメリカ兵にはならないようにするよ。


5月8日(土) 対戦相手:引く手あまた
豊島中央病院
 ただの擦り傷だと思ってました、さっきまで。でも、自宅で処置したガーゼから汁が出てるんですよ、いっぱい。び…病院行こうっと。

 豊島中央病院の形成外科3番の診察室に入り、「どーしました〜?」「いや〜、すっころんじゃいまして。」てな、ほのぼのした会話の後、じゃあ傷口見せて下さいねぇ。すると、看護婦さん、ボクが処置した膝小僧にへばりつく粘着テープを、何のためらいも無く、ビリッ!

 うわぁぁぁ、いってえ〜!!傷口じゃなくて、

 毛が。

 あのねぇ、毛には生えてる方向というのがありまして、それに逆らって引っ張ると抜けるんですよ、こんな風に。バツゲームじゃないんですから。

 その後、レントゲン撮ったり、傷口消毒したり、薬出してもらったりしましたが、処置の中で一番痛かったのは、このテープ剥がしでしたね。

 で、擦り傷で飲み薬ってどういう事?


5月7日(金) 対戦相手:地球
東池袋
 昨日に続いて自転車の話です。今日はパンクとチェーンの修理。新しく生まれ変わったシルバーチャリオット(70%茶色)で街を颯爽と駆け回ります。

 大塚からハンズに抜ける道には心臓破りの坂があって、よっしゃ!自転車と、そしてオレ様の自転車テクのリハビリには持って来い!いくぜぇ、シルバー!頭の中には挑戦者の藤波辰巳のテーマが。ペダルを漕ぐ足にも力が入ります。

 車道を爆走中、「あ、歩道に入ろう、よし、この段差なら乗れるな。大丈夫だなシルバー。いくぞ、ほいっ!」

 信頼を見事に裏切るシルバーの背信行為。前輪がそのわずかな段差に引っ掛かり、見事に横転。もしかしたら縦転。坂の途中のアスファルトに寝てました。痛え〜。いや〜、久々に転んだよ。大人になってこんなに激しくすっ転んだのは久々だぜい。オレ、今、めちゃめちゃ恥ずかしい〜。

 なんか膝に鈍い痛みがあって、見てみると、げっ、買って3回しか履いていないジーパンが、穴開いてる。おそるおそるジーパンの破れた箇所をめくってみると、

 膝小僧、擦りむいてるぅ。まるで子供。

 地球にニードロップ。いえ、シャイニングウィザード。真空飛び膝蹴り。藤波のテーマだったから、ドラゴン・リングインからのしょぼいニードロップでしょう、やっぱ。

 そんな技の名前はともかく、見る見るうちに膝から出血。出血通り越して流血。見るからに痛そうな擦り傷。見るまでは何とも無かったんですが、見た途端、急に痛みが。不思議だね、人間の身体って。

 おばあちゃん、昨日何か細工した?

 自分で転ぶと書いて自転車


5月6日(木) 対戦相手:おばあちゃん・リターンズ
池袋本町
 もう寄る事も無いと思っていた旧居ですが、ひとつだけ置き忘れたモノがありました。自転車です。銀色のボディで“シルバーチャリオット”と名付けたのですが、今では錆びの茶色の方が多いです。

 かれこれパンクしたのが半年以上前で、そのまま駐車場に放ったらかしにしてありましたから、このまま放置しておいても…とは思いましたが、今の家の駅までの距離を考えるとやはり回収することにしました。出来れば旧居に誰も居ない時にこっそりと。

 天気の良い午後、誰もいない訳がありません。明らかにおばあちゃん専用と思われる赤いゴムの伸びたトレーナー干してあるし。部屋の玄関開きっ放しにしてあるし。こっそり持ち出そうとしたらでっかいお尻が玄関から半分見えています。声掛けないわけにもいかないし…。

 「こんにちは〜。」
 「あら、こんにちは。」
 「自転車取りに来ました。」
 「あら、そう。どう?今のお家は?」

 はあ、予想通りの質問、ありがとうございます。ひと通りの適当な解答のあと、話題は自転車に。

 「でも良かったわぁ。あそこ(自転車の置いてあった場所)でゴミを焼こうと思ってたの。でも自転車があるしねぇ。最近では木がいっぱいになっちゃって、それを剪定してあそこで燃やそうと思ってたのよ。でも、これでよかったわぁ。」

 ボクの自転車以外にもう一台置いてあるんですけど、あれは丸焼け?しかも、あそこで火なんか炊いたら、お隣さん家の壁、真っ黒になりますよ。ファイヤーボーイズ出動しますよ。サブちゃん、纏(まとい)を振りますよ。

 その後、話題はおばあちゃんの自転車談義に。

 「あの辺(今のボクん家界隈)は昔、自転車でよく歩きましたよ。主人の病院に行く時にね。その時小学校の恩師から貰った手紙をね、読みながら歩いたもんですよ。」

 話もひとりで歩いてます。

 気をつけよう 暗い夜道の ひとり歩き


5月5日(子供の日) 対戦相手:生モノ
湘南台文化センター
 子供の日です。あいにくの空模様ですが、湘南台文化センターの施設は本日無料開放!朝から大勢の家族連れが開園前から列をなしています。ステレンジャー目当ての方…じゃないのね。

 会場入り、仕込み、場当たり、客入れと、とにかく時間がないっ。細かいチェックも出来ないまま本番突入。おかげで、本番中は様々なハプニングがあって、お客さん以上に出演者は楽しかった事と思います。

 例えば、最初にミゴナダムが風船を食べるシーンがあって、本当は口の端っこに風船を溜めておくんですけどね、この日は本当に喉の方まで入っていって、

 「オレ、ここで朝食とかさっき食べた弁当を吐いたら、どーなるんだろう?」

 と、思いながらなんとか乗り切ったりしました。あとは、平手打ちが顎に入ったり(ピンク)、台詞がとっ散らかったり(イエロー)、マイクに足が当たったり(イエロー)、思い通りのところで笑いが来なかったり(ミゴ)と苦戦しましたが、見てくださった皆さんには楽しんでいただけたかと思います。

 その後、新宿で打ち上げ。

             
                        登場!素顔の戦士達。素顔過ぎます。

 素顔の戦士達は反省なんかしません。ダメ出しもしません。目の前のお酒&コース料理と真剣に向き合い、馬鹿っぱなしに花を咲かせたのでした。そのおかげで、コースの料理はあっという間に…

                   
                         もう食べ物ないよ、追加する?

 途中で眠くなってしまったので、お先にドロンさせていただきましたが、え?オレ帰った後、揉め事あったの?喧嘩?食器が割れて…?店から強制退去?あらら、舞台以上に面白い事があったんだぁ。チッ、先に帰って損した。

 ステレンジャー内での演劇論は今後一切禁止です。 


5月4日(国民の休日) 対戦相手:風
軽井沢・鬼押し出園
 休日です、世間一般では。軽井沢は賑わってます。さすが、キング・オブ・避暑地。でも避けるほどの暑さは全くないです。むしろ肌寒いです。

 浅間山(現在、噴火活動休止中)の脇にある鬼押し出園は、普段でも風が強いらしいのですが、西からの天気の崩れに伴い、

 強風!

 外のステージですが、ジャグリング、とてもじゃないですけど、出来ません。ディアボロ投げたら全然見当違いのところまで飛んでいきました。この風は今のオレにとって、追い風?向かい風?

 控え室となったのは園内にある『相田みつをギャラリー』の一角。準備をしたり、くつろいでいると、相田みつをさんの心に響く詩が聞こえてくるんです。たぶんCDだと思うんですけど、野太い声のナレーターがゆーったりとした口調で、

 「けれど、けれどでなんにもしない。ヒュー、ドドーン(←なぜか花火の効果音)」

 恐えっ!文字で見ると心温まりますが、音で聞くと何か恐いです。夜一人では聴けません。避暑地にはもってこいかもな、確かに。

 人間だもの ジャグリング失敗したりするさ ヒュー、ドドーン


5月3日(拳法記念日 アチョー) 対戦相手:自分勝手
パルティーレ大宮ウエディングビレッジ
 大安です。しかもお休みです。こんな日に結婚式をする人は…あ、雨ですか?

 朝降っていた霧雨も午前中には上がり、少し肌寒いものの列席者の皆さんは笑顔でやって来ます。お昼には日も差し、急に暖かくなって、一杯飲んだ列席者の皆さんはやはり笑顔で帰っていきます。

 広場にてピエロでお見送りをしていると、顔を真っ赤にしたおじさん。見た目は類人猿?という顔の作りで、やたらと肩が張っていて、顔は日に焼けて真っ黒で、肉体労働に従事している事は一目で解りました。ツカツカ歩み寄って来て、握手を求めます。酔った勢いなのか、手には物凄い力が入って気を抜くとコチラの手が潰されてしまいそうです。そして、

 「あんちゃん、力、強いか?」

 なんじゃ?この質問。「いや〜、今日は楽しかったよ〜。」って来ると思っていた予想を全く違った形で裏切られました。するとおっちゃん、すぐさま、

 「ダメだっ!こんな事してたら。今日で辞めちまえっ!」

 えっ、え〜っ?芸に関する批評を通り越して、生き方否定ですかぁ?っていうか、今さっき会ったばっかりなのに、アナタにボクの何が解るってんですかぁ。すると、おっちゃん、

 「明日から、オレん所で働けっ!」

 すると、傍らにいた、おそらくそのおっちゃんの親戚の、やはり酔ったおじさんが、

 「お前、靴のサイズいくつだ?」

 また文脈の無い質問。25です。でも喋らないピエロなんで、指でピースサインと、もう片方の手でじゃんけんのパーを出して伝えます。するとおじさん、

 「28かぁ?そうかぁ。」

 あっれぇ?ボクのさっきの行動、パントマイム以前のジェスチャーですよ。とっても解りやすいですよねぇ。で、何で靴のサイズなんですか?もしかして、安全靴のサイズですか?

 工事現場でピエロを見かけたら、それはボクです。きっと。


5月2日(日) 対戦相手:戦慄の二本指
千葉・
アンデルセン公園
 昨日と打って変わり、北風が吹く寒い“非”行楽日和。でも、ここアンデルセン公演にはたくさんの人が訪れました。

 園内はとても広く、芝生や池などの自然が溢れていて、ピクニック気分の家族連れで賑わっています。ブルーシートを敷いてお弁当を食べたり、バドミントンやボールで身体を動かしたり、日本国民の休日の過ごし方が凝縮されています。

 3回のステージで出演でしたが、どの回もたくさんの方に見ていただいて、そして喜んでいただいて、疲れも吹っ飛ぶ程の笑顔に会えました。まあ、正確には、ステージの合間がほとんど無くて、疲れてる暇もなかったんですけどね。

 3ステージ目を終えて、たくさんのお子さん達と『握手会』が始まりました。嬉しいねぇ。「風船ちょ−だーい!」とか言わないし、鞄を勝手に開けて道具触ったりしないし。この辺のお子さんたちはみんな素直ですよ。とそこに、明らかに目の輝きの違う子供発見。不適な笑みを浮かべて近寄ってきます。

 次から次へと握手攻めで、一瞬その子供を見失いました。他の素直なお子さん達に気を取られ、迂闊にも背後を取られていました。

 「カンチョー!」

 彼の指は、私の括約筋を執拗に狙ってきます。まあでも、子供のやる事ですから、笑って見過ごし…

 ウッ!

 ヒットしました。ダーツでいう所の50点です。身体を一瞬電気が走りました。次の瞬間、ピエロという仮面を被りながら、彼の指を『逆関節』に捕らえていました。しかも結構マジで。

 心の中で言った言葉 「ASS HOLE!」


5月1日(メーデー) 対戦相手:張り手
有楽町線内
 舞浜のホテルで人さまの幸せを祝福の日です。絶好の行楽日和。そして連休本番。みんな浮かれています。交通機関はどれも混雑してます。

 要町から乗り、池袋ではしっかり座れました。池袋に到着すると、民族大移動です。隣に座っていたおじさんが降り、一人分の座席がぽっかり空いています。すると、入口近くで立っていた子供(すんごく小さい)が2人、やってきました。どうやら兄弟のようです。

 弟は座席に子供座り(靴を履いたまま窓の方を向く座り方)をし、お兄ちゃんは座らないで、電車の中吊りや広告を見て、はしゃいでいます。とっても無邪気に声をあげています。お兄ちゃんの奇声に影響を受けて、弟クンもキャーキャー言ってます。

 お兄ちゃんが、広告でウルトラマンを発見すると、弟クンも立ち上がって「ウルトラマーン!」と叫び、そしてまた僕の隣の席に座ってはジタバタしています。とっても微笑ましい兄弟愛の図なのですが、

 うざいっ!

 チャラ男系サングラスをかけて威圧感を出そうとしても、ぜーんぜん効き目がありません。これは言わなきゃ。俺が注意しなきゃ。うん、決めた。

 でも、何て言って注意しよう?

 「ねえ、ボク、ウルトラマンがそんな事しちゃダメって言ってるよ。」
 ウルトラマンのせいにするのはちょっと卑怯か?

 「ねえ、ボク、落ち着きが無いのは、お尻にギョウチュウでもいるの?」
 余計遠回りだし。比喩表現とか皮肉とか通じないし。

 「お母さーん、この子のお母さーん。注意しなくていいんですかぁ?」
 うん、これが一番言いたい事に近いかな。

 あれこれ考えていると、通路を挟んで反対側にいた初老の紳士が立ち上がり、弟クンの頭を

 パッコーン!

 平手打ちです。しかも「うるさいっ!」って掛け声付きで。一瞬の出来事でした。車内全員、心の中で拍手でしょう。

 でも美味しい所を取られた敗北感。